納品事例:19 阿字和紙工房様に団扇の紙漉き機を納品しました
府中市阿字町の協和元気センターの阿字和紙工房様に和紙の紙漉き機を納品しました
地元阿字町の伝統文化である阿字和紙の紙漉きを地域に広める活動をされている協和元気センター様に古くなった紙漉き機を新たに作って納品させていただきました。
持ってこられたサンプルはもう何十年も使われてきた年代物で、木部にはひびや割れが目立っていました。
木材自体が水に頻繁に浸けるのに向いていないですが、紙漉き作業に水気は切っても切れないものなので、水にぬれても劣化が緩やかなものにしてほしいとのことでした。
仕様としては先代のものがあるので基本はそこに倣います。
問題は木部、材質の選定です。
割れが出ない様にするとなると、薄い材料を何枚か重ねて水戻りしない接着剤を使って高周波という機械で圧着することは必至でした。
問題は木目の向きと張り合わせる材料の枚数と材質です。
製材をお願いする外注業者さんの会社に赴いて相談をしたり、コストとも相談して、最終的に三枚の積層で真ん中に密度も高く丈夫なビーチ材を短い目で、表に表札などにも使われて、水にも強く、腐ったりもしにくいというヒバ材を長い目でビーチを挟むということになりました。
外注業者さんも積層(複数の材料を重ねて圧着する)はよくするけど違う材料を使ったことはないと言われていました。ですが、実際にやってみたら、思いのほかきれいで丈夫な材料に仕上がったと言われていました。
製材から戻ったら寸法切りをしてこれまた別の外注さんに糸鋸で団扇の形の切り抜きをお願いします。
取っ手を付けたら全体をサンダーで仕上げていきます
それが返ってきてから取っ手部分を作って、水戻りしない接着剤とビスで止めて、いったん四辺をサンダーで擦って仕上げてから金網をタッカーでとめていきます。
タッカーでとめるのも均等な隙間を保って打たないといけないのでそれ用の治具を作成してすべて手作業で打っていきます。
この新しい紙漉き機を使って地元の小学生たちが紙漉き体験をして文化を継承していってくれると思うと中々いい取り組みに関われせて頂いたなと思います。
今回の納品で使用感が問題なければ、切り抜きの形を変えていろんなものの紙漉き機に応用が出来るなと思いました。
それが地元の人たちだけでなく、市外、県外から来られた観光客の方の新しい経験に役立って、それが府中市の活性化に繋がればいいなと思いました。
阿字和紙工房事業 https://k-area.net/ajiwashi/