納品事例:15 大阪府大阪市 ㈱タイキ様 別注経本ケース
いつもお世話になっている㈱タイキ様から別注の経本ケース作成の依頼を受け、納品させて頂きました
府中の家具組合さんからの紹介でお付き合いさせて頂いてもう何年にもなる㈱タイキ様から別注の経本ケース作成の依頼を頂きました。
いつも作らせて頂いているのは経本ケース ずり板式と引出し式の2つの様式です。
まず経本ケースとは何かというと檀家さんを持たれるお寺さんで使うお経本をしまって入れておくケースです。タイキさんはそのお経本自体を作られている会社でお寺さんとの付き合いも多くその中で経本ケースの依頼があると弊社にいつもお声かけ頂いてます。
すり板式とは大きな板(ずり板)の上に経本を重ねて置いてその板を出し入れして使う様式です。
列ごとに仕切り板を入れてずり板も5分割、列ごとに出し入れできるように
今まで作ったことがない様式で寸法も決まっておらず、すべての寸法を実際に中に入れる経本の大きさを基準にどのくらい伸びを見るか、直接話し合いながら決めていきました。
施主さんこだわりの竿通し金具
詳しい事は分かりませんが、どうやら納めた先のお寺さんでこの経本ケースに経本を入れてお寺の人がそれを担いで練り歩くという行事があるらしくその担ぐために必要な金具をどうするかという問題がありました。由緒あるお寺さんで先代から引き継いで使っていた経本ケースから金具だけ取り外すという案も出ましたが、100年も前のもので劣化も激しくあえなく断念。京都の金具屋さんにゼロからオーダーで作ってもらうことになりました。
代々引き継いできた文字をどう残すか、どう使うか。
昔から引き継いできた経本ケースに書かれた文字をそっくりそのまま踏襲したいという思いがあり、それに関しては経本自体を写真で撮り、スキャンしてデータ化してUVプリントで本体にのせるという形をとりました。
筆耕も様式も使う金具もいつもと違うということで何かと気を遣う面も多く組み上げの工程も試行錯誤でしたが、何とか希望納期内に北海道のお寺さんに直送でお届け出来て後日満足頂いたとの連絡がタイキさんから有りそこでやっと一仕事終えた実感がありました。
フルオーダーの仕事は全てが手探りで大変な分レギュラー品とは違うやりがいがあります。
このコロナ禍でお寺さんも全国的に大変だと聞きますが、少しずつ社会が適応していきまた以前のようにお寺が人と人を繋ぐ場になっていけばいいなと思います。